センター長の挨拶

センター長 濱 広幸

 電子光理学研究センターは、1966年 前身である原子核理学研究施設(核理研)の創設以来、当時国内最大規模の電子加速器である300MeV電子リナックを所有し、原子核物理を中心に広い科学分野に電子ビームを供給してきました。

 この300MeV電子リナックはエネルギーのみならず300ppsというパルス繰り返しも現在では考えられないほど高いもので、電子線による核物理の黎明期から成長期の牽引力であり、非弾性電子散乱による変形核の巨大共鳴研究といった世界に名だたる興味深い核物理の業績のみならず、初代施設長の木村一治先生による世界に先駆けたパルス中性子をプローブとする物性研究の開拓にも大きく貢献しました。

 2011年3月11日の巨大地震で多くの加速器付属機器が破壊され、限られた復旧経費の中で、どのようにセンターの加速器群を復活させるのかは非常に難しいテーマでした。熟慮の末、300MeV電子リナックとしての震災以前のスペックを取り戻すことをあきらめ、5台あったクライストロンモジュレータのうち使用できそうな2台を修理して低エネルギー部を蘇生させ、その他は部品獲りして解体しました。また、第一実験室の放射性同位元素製造ラインを直線の0°ラインに置き換える等のビーム輸送路改修を施して、最大エネルギー60MeV、ビームパワー5kW以上を短時間のチューニングでユーザー提供できるような高強度電子リナックが誕生しました。一方、収束電磁石やトラッキング電源を更新した電子シンクロトロンを最大エネルギー1.2GeVから1.3GeVにアップグレードし、さらにリング入射専用の90MeV電子リナックを新設しました。専用入射器を導入したおかげで、シンクロトロンと高強度リナックの同時運転が可能になりました(センター加速器群の復旧についてはELPH annual Report 2011-2013に詳しく載っています)。

 この300MeV電子リナックの変容は旧核理研時代も含めて電子光理学研究センターの新しい時代の幕開けを象徴するように思えます。昨年までに管理棟の改修、研究棟のリフォームと一部増築が行われ、真新しい雰囲気の居室やセミナー室、120名収容できる三神峯ホールなど環境が一新しました。センター4台目の加速器であるビーム物理学研究専用の50MeV試験加速器も本格的に稼働し始めました。震災前からも一部改修されてきた特別高圧受電設備や電気室の変電設備の大部分も更新されました。放射線管理においてはモニタリングポストの改修や新設に加え、排水貯留槽も震災後に更新されています。

 震災からすでに4年が経ちました。宮城県や近隣県にはまだ地震•津波の爪痕が色濃く残っています。我々は我々自身の研究教育活動の復旧復興とともに、地域への貢献を忘れるわけにはいきません。昨年度はとりわけ電気料金の急騰で非常に苦しめられましたが、なんとかこれを跳ね返して新たな歴史を書き加えて行きたいと思っています。今後もセンター加速器ユーザーのみなさまや関連研究者コミュニティからの厚いご支援をお願い致します。

2015年4月
センター長  濱 広幸

概要・沿革

概要

電子光理学研究センター

 電子光理学研究センターは、1966年に理学研究科附属原子核理学研究施設 (核理研) として発足し、原子核理学に関する学理とその応用の研究、および研究者の育成を目的とし、学内共同利用的施設として運用されてきました。

 1967年に完成した3億電子ボルト(300 MeV)電子線形加速器(ライナック)からのパルス電子ビームは、原子核物理学のみならず、物性物理学、放射化学、工学、生物学などの分野に広く利用されてきました。

 1995、96年度には12億電子ボルト(1.2 GeV)ストレッチャー・ブースタリング (STB リング) が建設されました。STB リングはライナックから入射されたパルス電子ビームを連続ビームに変換するストレッチャー機能、最大12億電子ボルトまで加速するブースター機能をもった 円形加速器です。東日本大震災後の2013年にはビームエネルギーを13億電子ボルト(1.3 GeV)まで増強し、またストレッチャーモードを廃止するとともにビーム輸送ラインの整備を行い、現在は1.3GeVのブースター・ストレージリング(BSTリング)となりました。BSTリング中を周回する電子ビームにより制動放射で生成した標識化光子ビームを使った原子核・ハドロン実験、また円形加速器中で生じる電子の非線型運動を調べるビーム物理の研究が行われています。

 2009年12月1日に理学研究科を離れ、東北大学附置の理学研究センターとなり、 加速器ビーム物理研究部、核物理研究部、光量子反応研究部の3つの研究部で研究を推進しています。 2011年4月1日より、全国共同利用・共同研究拠点として更なる研究の充実を期しています。

沿革

  • 1966年 東北大学の原子核関連分野の学内共同利用施設として設置
  • 1967年 300 MeV 電子ライナックの完成、パルス電子線による原子核、放射化学などの実験開始
  • 1971年 パルス中性子源の完成、中性子回折実験開始
  • 1982年 150 MeV パルス・ストレッチャー完成、連続電子線による原子核実験開始
  • 1988年 世界で初めてコヒーレント放射光を観測
  • 1997年 1.2 GeV ストレッチャー・ブースタリング完成
  • 1998年 大学院理学研究科附属施設に移行
  • 2002年07月 GeV ガンマ実験棟竣工、GeV ガンマ照射室でのハドロン実験の開始
  • 2006年05月 GeV ガンマ照射室の検出器テスト用電子・陽電子ビームライン使用開始
  • 2006年09月 第二実験室に磁気スペクトロメータ NKS2 が完成 (東北大原子核物理研究室)
  • 2008年02月 高周波電源棟竣工
  • 2009年09月 GeV ガンマ照射室に電磁カロリメータ FOREST が完成
  • 2009年12月 電子光理学研究センターへ改組
  • 2010年03月 光源加速器棟竣工
  • 2011年03月 東日本大震災により被災し、共同利用を休止
  • 2011年04月 全国共同利用・共同研究拠点(電子光理学研究拠点)運営開始
  • 2013年12月 共同利用再開
  • 2014年07月 研究棟を改修・増築、三神峯ホール竣工
  • 2015年04月 凝縮系核反応共同研究部門を設立

組織

平成29年4月1日現在

センター長  濱 広幸


運営委員会委員一覧
運営協議会一覧
課題採択委員会委員一覧

組織図

平成29~30年度電子光理学研究センター運営委員会委員

  学科等名 職 名 氏 名 任 期
委員長 電子光理学研究センター 教授 濱 広幸 H29.4.1~H31.3.31
委員 電子光理学研究センター 教授 須田 利美 H29.4.1~H31.3.31
委員 電子光理学研究センター 教授 大西 宏明 H29.4.1~H31.3.31
委員 電子光理学研究センター 准教授 日出 富士雄 H29.4.1~H31.3.31
委員 電子光理学研究センター 准教授 柏木 茂 H29.4.1~H31.3.31
委員 電子光理学研究センター 准教授 村松 憲仁 H29.4.1~H31.3.31
委員 電子光理学研究センター 准教授 菊永 英寿 H29.4.1~H31.3.31
委員 理学研究科物理学専攻 教授 ※ 田村 裕和 H29.4.1~H31.3.31
委員 理学研究科物理学専攻 教授 ※ 中村 哲 H29.4.1~H31.3.31
委員 理学研究科物理学専攻 准教授 ※ 萩野 浩一 H29.4.1~H31.3.31
委員 理学研究科化学専攻 教授 美齊津 文典 H29.4.1~H31.3.31
委員 理学研究科化学専攻 准教授 ※ 木野 康志 H29.4.1~H31.3.31
委員 工学研究科 教授 ※ 魚住 信之 H29.4.1~H31.3.31
委員 工学研究科 教授 寺川 貴樹 H29.4.1~H31.3.31
委員 金属材料研究所 教授 藤田 全基 H29.4.1~H31.3.31
委員 多元物質科学研究所 教授 高桑 雄二 H29.4.1~H31.3.31
委員 多元物質科学研究所 准教授 江島 丈雄 H29.4.1~H31.3.31
委員 多元物質科学研究所 准教授 ※ 西森 信行 H29.4.1~H31.3.31
委員 電気通信研究所 教授 枝松 圭一 H29.4.1~H31.3.31
委員 サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター 准教授 伊藤 正俊 H29.4.1~H31.3.31
委員 学際科学フロンティア研究所 教授 津田 健治 H29.4.1~H31.3.31
幹事 理学部・理学研究科 事務部長 村岡 利光  

※は電子光理学研究センター兼務教員

 

 

平成29~30年度電子光理学研究センター運営協議会委員

  分 野 所 属 名 職 名 氏 名 任 期
学内委員 加速器・ビーム物理 電子光理学研究センター 教授 濱 広幸 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 原子核 電子光理学研究センター 教授 須田 利美 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 原子核 電子光理学研究センター 教授 大西 宏明 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 放射化学 電子光理学研究センター 准教授 菊永 英寿 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 原子核 理学研究科物理学専攻 教授 田村 裕和 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 放射化学 理学研究科化学専攻 准教授 木野 康志 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 原子核 サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター 准教授 伊藤 正俊 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 加速器・ビーム物理 学際科学フロンティア研究所 教授 津田 健治 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 原子核 理化学研究所仁科加速器研究センター 主任研究員 上坂 友洋 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 原子核 首都大学東京大学院理工学研究科 准教授 慈道 大介 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 原子核 大阪大学核物理研究センター 教授 中野 貴志 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 原子核 京都大学大学院理学研究科 教授 永江 知文 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 加速器・ビーム物理 高エネルギー加速器研究機構 教授 加藤 龍好 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 加速器・ビーム物理 京都大学エネルギー理工学研究所 教授 大垣 英明 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 放射化学 金沢大学理工研究域 教授 横山 明彦 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 放射化学 首都大学東京大学院理工学研究科 准教授 大浦 泰 H29.4.1~H31.3.31
幹事   理学部・理学研究科 事務部長 村岡 利光  

平成29~30年度電子光理学研究センター課題採択委員会委員

  分 野 所 属 名 職 名 氏 名 任 期
学内委員 原子核 電子光理学研究センター 教授 須田 利美 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 原子核 電子光理学研究センター 教授 大西 宏明 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 加速器・ビーム物理 電子光理学研究センター 准教授 柏木 茂 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 放射化学 電子光理学研究センター 准教授 菊永 英寿 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 原子核 理学研究科物理学専攻 教授 中村 哲 H29.4.1~H31.3.31
学内委員 放射化学 金属材料研究所 准教授 山村 朝雄 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 原子核 日本原子力研究開発機構先端基礎研究センター 研究副主幹 谷田 聖 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 原子核 京都大学理学研究科 准教授 成木 恵 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 原子核 大阪大学核物理研究センター 教授 與曽井 優 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 加速器・ビーム物理 兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 准教授 庄司 善彦 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 放射化学 首都大学東京大学院理工学研究科 准教授 大浦 泰 H29.4.1~H31.3.31
学外委員 放射化学 京都大学原子炉実験所 准教授 高宮 幸一 H29.4.1~H31.3.31

構成員

2017年4月現在
※電子メールはうしろに @lns.tohoku.ac.jp 、電話番号は前に 022-743 がつきます。

研究者

氏名 Name 職名 専門分野 電子メール 電話  
濱 広幸 Hiroyuki HAMA 教授、センター長 加速器ビーム物理 hama 3432 東北大研究者紹介
大西 宏明 Hiroaki OHNISHI 教授 核物理 (クォーク核物理 ohnishi 3423  
須田 利美 Toshimi SUDA 教授 光量子反応 (電子散乱 suda 3420 東北大研究者紹介
岩村 康弘 Yasuhiro IWAMURA 特任教授 凝縮系核反応 iwamura 3462  
柏木 茂 Shigeru KASHIWAGI 准教授 加速器ビーム物理 kashiwagi 3434 東北大研究者紹介
菊永 英寿 Hidetoshi KIKUNAGA 准教授 光量子反応 (核・放射化学) kikunaga 3425 東北大研究者紹介
日出 富士雄 Fujio HINODE 准教授 加速器ビーム物理 hinode 3424 東北大研究者紹介
村松 憲仁 Norihito MURAMATSU 准教授 核物理 (クォーク核物理 mura 3416 東北大研究者紹介
伊藤 岳彦 Takehiko ITOH 客員准教授 凝縮系核反応 itoh 3426  
三浦 禎雄 Sadao MIURA 准教授 加速器ビーム物理 miura 3437  
石川 貴嗣 Takatsugu ISHIKAWA 助教 核物理 (クォーク核物理 ishikawa 3433 東北大研究者紹介
塚田 暁 Kyo TSUKADA 助教 光量子反応 (電子散乱 tsukada 3418 東北大研究者紹介
宮部 学 Manabu MIYABE 助教 核物理 (クォーク核物理 miyabe 3435 東北大研究者紹介
武藤 俊哉 Toshiya MUTO 助教 加速器ビーム物理 muto 3429  
時安 敦史 Atsushi TOKIYASU 助教 核物理 (クォーク核物理 tokiyasu 3422  
池田 隼人 Hayato IKEDA 助教 光量子反応 (電子散乱      
本多 佑記 Yuki HONDA 研究助教 光量子反応 (電子散乱 honda 3417  
笠木 治郎太 Jirohta KASAGI 研究教授 核物理学・凝縮系核科学 kasagi 3414 東北大研究者紹介
清水 肇 Hajime SHIMIZU 研究教授 核物理 (クォーク核物理 hshimizu 3414 東北大研究者紹介
玉江 忠明 Tadaaki TAMAE 研究教授 光量子反応 (電子散乱 tamae 3417  

兼務教員

氏名 Name 所属・職名 専門分野  
田村 裕和 Hirokazu TAMURA 理学研究科物理学専攻 教授 原子核物理研究室 東北大研究者紹介
中村 哲 Satoshi NAKAMURA 理学研究科物理学専攻 教授 原子核物理研究室 東北大研究者紹介
金田 雅司 Masashi KANETA 理学研究科物理学専攻 助教    
萩野 浩一 Kouichi HAGINO 理学研究科物理学専攻 准教授 原子核理論研究室 東北大研究者紹介
木野 康志 Yasushi KINO 理学研究科物理学専攻 准教授 放射化学研究室 東北大研究者紹介
魚住 信之 Nobuyuki UOZUMI 工学研究科 応用生物物理化学分野 東北大研究者紹介
西森 信行 Nobuyuki NISHIMORI 多元物質科学研究所 准教授    

技術職員

氏名 Name 職名 電子メール 電話
南部 健一 Ken'ichi NANBU 教育研究系技術職員 nanbu 3431
長澤 育郎 Ikurou NAGASAWA 教育研究系技術職員 nagasawa 3431
高橋 健 Ken TAKAHASHI 教育研究系技術職員 Ken_takahashi 3431
小林 恵理子 Eriko KOBAYASHI 教育研究系技術職員 kobayasi 3431
鹿又 健 Ken KANOMATA 教育研究系技術職員 kanomata 3431
柴崎 義信 Yoshinobu SHIBASAKI 教育研究系技術職員(再雇用) shibasak 3453

学生

氏名 Name 学年 所属グループ 電子メール 電話
松村 裕二 Yuji MATSUMURA 博士課程3年 核物理 (クォーク核物理 matumura 3435
齊藤 寛峻 Hirotoshi SAITO 博士課程2年 加速器ビーム物理 hsaito 3429
笹川 瑞貴 Mizuki SASAGAWA 修士課程2年 核物理 (クォーク核物理 sasagawa 3422
笠間 桂太 Keita KASAMA 修士課程2年 光量子反応 (電子散乱 kasama 3418
齊藤 悠樹 Yuki SAITO 修士課程2年 加速器ビーム物理 ysaito 3429
白井 凜太郎 Rintaro SHIRAI 修士課程2年 核物理 (クォーク核物理 shirai 3435
南波 和希 Kazuki NAMBA 修士課程2年 光量子反応 (電子散乱 namba 3418
青柳 泰平 Taihei AOYAGI 修士課程1年   aoyagi  
上田 惟行 Tadayuki UEDA 修士課程1年   ueda  
髙山 祥汰 Shota TAKAYAMA 修士課程1年   takayama  
二宮 慎吾 Singo Ninomiya 修士課程1年   ninomiya  
吉田 千尋 Chihiro YOSHIDA 修士課程1年   yoshida  
岡部 雅大 Masahiro OKABE 学部4年   okabe  
松田 薫平 Kunpei MATSUDA 学部4年   matsuda  
森田 希望 Nozomu MORITA 学部4年   morita  
山田 悠樹 Hiroki YAMADA 学部4年   yamada  

事務

氏名 電子メール 電話
事務室 kakurike @ grp.tohoku.ac.jp 3400、3412
放射線安全管理室 kanri @ lns.tohoku.ac.jp 3411

研究施設概要 (加速器・ビーム性能)

研究施設概要

layout_20151225_ja

NKS2

NKS2

 

 

FOREST

FOREST

 

 

RTAGX

RTAGX

 

 

t-ACTS

tACTS

 

 

 

 

 

 

加速器・ビーム性能

電子光理学研究センターでは3つのビームラインでビームを提供しています(2015年現在)。ビームライン概要についてはこちらを参照してください

大強度電子線形加速器

大強度電子線形加速器
 70MeVの電子線形加速器(リナック)です。1967年に300MeV電子線形加速器の低エネルギー部として建設され、震災後は第1実験室に大強度電子 ビームを供給する専用加速器として改修されました。8本の1m長Sバンド加速管および90度ビーム偏向部を含むトランスポートラインで構成されています。 第1実験室まで輸送された電子ビームはチタン窓より取り出され、コンバータでガンマ線に変換し、ラジオアイソトープ(RI)製造や放射化学などの実験に用 いられています。この電子加速器の特長は、平均電流が最大150マイクロアンペア、平均ビームパワーが5kWを超える大強度電子ビームを作り出せることです。これまでに、電子ビームエネルギー10~60MeVの範囲で運転実績があります。代表的なビーム性能を以下に示します。
Linac Energy Modulator Repetition Macropulse Peak Current Macropulse Duration Average Current
50 MeV 300 Hz 〜130 mA 3.0 µs 120 µA
30 MeV 300 Hz 〜100 mA 3.0 µs 90 µA

シンクロトロン入射用電子線形加速器(入射器)

シンクロトロン入射用電子線形加速器
シンクロトロン入射用電子線形加速器
(上流部から撮影)
 1.3GeVブースター・ストレージリング(BSTリング)にビームを入射するための最大ビームエネルギー100MeVの電子線形加速器です。2012年に建設され、第1実験室にビームを供給する大強度電子線形加速器とは独立に運転することが可能です。2本の3m長Sバンド加速管と分散部で構成されています。本電子線形加速器はBSTリングへのトランスポートラインの他に、ビーム診断用のストレートビームラインと偏向ビームラインの2つのビームラインが付属しています。

電子円形加速器 1.3 GeVブースター・ストレージリング (BST リング)

機能複合型4極電磁石
2013年に新たにBST リングに導入された機能複合型4極電磁石。通常の4極電磁石のような構造をしているが、磁極面が4極と6極成分を合わせて発生できる形状をしており、これにより色収差の補正が可能になっている。
BSTリング全体
BSTリング全体。周長は約50mあり、青色の偏向電磁石でビーム軌道を曲げてリング内を周回させる。手前の偏向電磁石中央部分に見えているのがBM5と呼ばれるガンマ線取り出し用のビームライン。

 STリングはシンクロトロンと呼ばれる種類の電子円形加速器であり、線形加速器から入射された約90 MeVの電子ビームを最大1.3 GeVまで加速してリング中に貯蔵します。ビームの加速や貯蔵に必要なエネルギーは、共振周波数500 MHzの高周波加速空洞により供給されています。リングを周回している電子ビームの軌道上に非常に細い炭素ファイバーを挿入することで、制動放射により高エネルギーのガンマ線を発生させることができ、このようなビームラインが2か所に設置されています。代表的な運転パターンでは、2秒ほどで入射ビームを加速し、10秒程度の時間をかけて 10 ~30 mA の電子から少しずつガンマ線を発生させ、その後5秒程度で再び次のビームが入射されています。これまでに、ストレージビームエネルギー0.8~1.3GeVでの運転実績があります。代表的なビーム性能を以下に示します。

Injection Beam Energy Injection Repetition Ring Top Energy Storage Beam Current
90 MeV ~0.05 Hz (typ.) 0.8~1.3 GeV ~30 mA

標識化ガンマ線ビームライン

 BSTリングには、標識化光子ビームを提供する2つのビームラインがあります。以下にその代表的な標識化ガンマ線ビームの性質を示します。
Beam line Energy Range
(Rint Energy: 1.3 GeV)
# of Bins Intensity Duty
BST-Tagger-I 0.8 ~ 1.26 GeV 160 TBC ~60% (NKS2)
BST-Tagger-II 0.9 ~ 1.25 GeV 116 TBC ~50% (FOREST)

光子ビームライン I での標識化光子ビーム

周回電子でエネルギーのおよそ62~98 %のエネルギー領域を160分割し標識化します。光子ビームの性質は現在調査中です。
詳細は 神田 (kanda@m.tains.tohoku.ac.jp) までお問い合わせください。

光子ビームライン II での標識化光子ビーム

通常、17秒サイクル、フラットトップ10秒で運転を行っています。周回エネルギーのおよそ62〜96%のエネルギーを116分割し標識化します。光子ビームの性質は現在調査中です。
詳細は 石川 (ishikawa@lns.tohoku.ac.jp) までお問い合わせください。

検出器テスト用ビームライン(電子・陽電子ビーム)

 GeVガンマ実験室内の荷電粒子除去用双極電磁石 RTAGX を使用し、検出器テスト用の陽電子ビーム(-30 度、-23 度ビームライン)および電子ビーム(+30 度ビームライン)を提供することが可能です。ビーム強度はエネルギーによって変化しますが20 mφ程度のスポットで kHz 程度です。陽電子ビームの-30 度ラインについては、三連四極電磁石でビーム集束することも可能です。また、偏向電磁石と三連四極電磁石の極性は変更可能です。以下に代表的なビームの性能を示します。
Beam Beam line Maximum beam energy
Positron / Electron ± 30 deg ~840 MeV
Positron -23 deg ~1000 MeV
詳細は石川(ishikawa@lns.tohoku.ac.jp)にお問い合わせください。

PAGE TOP